本当は誰にも教えたくない甘い水

我が家の(私だけだが)ハウス焼酎である。
名前は、まだない。
かろうじて「しずおか芋焼酎」とあるが、それは符号のようなものだ。
私は、このお酒を生産者への感謝と愛を込めて「正子の芋」と呼んでいる。


昨今の焼酎ブームはいかがなものかと思う。
“幻の焼酎”? プレミアがつくったぁ、一体どういうことだ?

焼酎は本来なら、庶民が一日の仕事の疲れを癒すために、ちびちびやるもの。
だから、その土地土地で造られたものが、安価で地元民に提供されてきた。
(だから「地酒」っていうんじゃないか!)

確かに、九州の芋焼酎は美味い。
私が芋焼酎に心酔するようになったのも、鹿児島の芋焼酎のおかげだ。
でもきっと、鹿児島で呑んだ方が美味いに違いない。
「地酒」とは、そういうものなのだと思う。

そこで、はた、と思ったのだ。
……静岡に芋焼酎はないか?

すると、あるではないか!
芋は静岡県浜岡町・大池正子さんの『べにあずま』を使用。
麹には静岡産『藤の舞』65%精米の静岡酵母NEW-5(清酒酵母・黄麹)を。
すべて静岡づくしで仕上げたという生粋の『地酒』。

まさに私が探し求めていたそのもの!


正子の芋。
それは、なんとも女性らしい、ふくよかでやわらかな味。
「のみやすい」と片づけてしまえばそれまでなのだが、
芋焼酎特有のあのほんわりとした甘さと、たおやかな香ばしさが、素直に染みわたる。
一口でとりこになった。

日頃、がつんとくる芋焼酎を呑みつけている人には、物足りなささえ覚えるだろう。
しかし、一度そのまろやかさを覚えてしまうと、もう手遅れだ。
この味を覚えたら最後、他の女酒が呑めなくなる。

来期はどーーんと買い占めまっせ、杉井さん。

(2004.9.4)

【参考文献】
誰にも教えたくないので、なし。

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